■読売新聞~2009年10月17日(土)夕刊より~
滝澤さん海外ピアノ公演
スペイン音楽の第一人者でピアニストの滝澤三枝子さんが11月、アルゼンチンとウルグアイで開かれる「日本スペイン協会」50周年の記念コンサートに出演する。
母の死を乗り越え、6年ぶりの海外公演。「ピアノを通してどんな出会いがあるか、とても楽しみ」と話している。
滝澤さんは情熱と哀愁のスペイン音楽と、現代音楽の両方を手がける国内では数少ない音楽家で、国内でも音楽の楽しさを伝えようと福祉施設などで無料コンサートを開いてきた。
日本とスペイン語圏との交流を進める日本スペイン協会から、スペイン語圏の国での演奏を打診されたのは3年ほど前。しかし当時は、脳梗塞で車いす生活をしていた母親を介護しており、断念せざるを得なかった。
その母は昨年4月、89歳で他界。喪失感に打ちのめされている時、改めて同協会からのコンサートの依頼があった。口数の少なかった母が生前、ぽつりと漏らした「芸術は、優しい心がないとできないよ」という言葉を思い出し、演奏家としてすべてをかけるつもりで臨むことに決めた。コンサートは11月2日にアルゼンチンのブエノスアイレス、同5日にウルグアイのモンテビデオで開かれる。